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Dark Oath | When Fire Engulfs the Earth:技巧的な曲構成が光るシンフォニック・メロデス

Dark Oath | When Fire Engulfs the Earth

 

作品情報

リリース日:2016年 4月 15日

レーベル: WormHoleDeath

レングス:63分50秒

ジャンル: シンフォニック・メロディック・デス・メタル

 

ソングリスト
  1. Land of Ours
  2. The Tree of Life
  3. Battle Sons
  4. Watchman of Gods
  5. Thousand Beasts
  6. Death of Northern Sons
  7. Wrath Unleashed
  8. Vengeful Gods
  9. When Fire Engulfs the Earth
  10. Brother's Fall

 

メンバー

Joël Martins リードギター、バックヴォーカル

Sara Leitão メインヴォーカル

Afonso Aguiar ベース、バックボーカル

Sérgio Pinheiro リズムギター

Tiago Correia ドラムス

 

2009年に結成されたポルトガル出身のシンフォニック・メロディック・デス・メタル・バンド。本作が初めてのフルレンス・アルバムとなる。女性ヴォーカルを擁する4人編成。ベース担当のAfonso Aguiarは、2017年まで同じポルトガル出身のメロデスバンド『Moonshade』に所属していた。『For I Am King』や『Arch Enemy』など女性のデスヴォイス・シンガーの活躍が目立つようになって久しい昨今。『Dark Oath』のリサ嬢もまた、男性優位のメタル界にあって男性グロウルと遜色ない力強い咆哮を響かせている。

 

シンフォニック・メロデスを自称しているが、全体的にはヴァイキング・メタル寄りの壮大さと、北欧的な感情が同居している感じだ。そこへ荘厳なオーケストレーションが時おり挿入される。メロデスと女性ヴォーカルという組み合わせ故か、どの曲を聴いても『アーチ・エネミー』の幻影がちらつくのは否定できない。だが、『Dark Oath』ならではの絵巻物のような変化に富んだ曲構成が、そんな幻影をぶち壊してくれる。イントロとサビ、中盤と終盤でまったく違った表情を見せる多彩なギターリフ。疾走と減速を巧みに使い分けるドラムス。決してブレることのないグロウル。こういった要素が絡み合って、壮大な絵巻のようなアルバムに仕上がっている。

 

1:Land of Ours

 

約10分にも及ぶ大作。シネマティックな展開をみせる変化に富んだオープニングナンバー。物静かなイントロから一転して、サラ嬢の咆哮で幕を開ける演出にアドレナリンがほとばしること間違いなし。『アーチ・エネミー』のアリッサ嬢に勝るとも劣らないサラ嬢の力強いデスヴォイスをTiago Correiaの繰り出すブラストビートが追撃する。

 

2: The Tree of Life

 

じっくりとメロディーを聴かせるパートと、一気呵成に叩き込む疾走パート。緩急のついたモダンなメロディーの1曲。サラ嬢のデスヴォイスがそうさせるのか分からないけど、どこをどう取っても『アーチ・エネミー』臭がするのは私だけだろうか?

 

3: Battle Sons

 

ミドルテンポから始まって、中盤から勢いを増すメロディアスな構成。叙情的なギターリフをじっくりと堪能した後、Amon Amarth(アモン・アマース)的な重量感のあるドラムスに酔いしれる。1曲の中で3段階くらいの変化を遂げるメロディーは、聴き応え十分だ。

 

4: Watchman of Gods

 

前曲の重々しい曲調から一転したキャッチャーなリフが心地良い。イントロから容赦なく疾走を始めるグルーヴィーな1曲。ヴァイキング・メタルに影響を受けたと思われる重厚なブラストビートが、曲全体に締まりを与えている。中盤2分50秒くらいで迎えるヴォーカルとドラムスの迫撃。ラストへ向かって感情を高めていくギターリフ。どこを取ってもハイライトになり得る、曲の構成が素晴らしい。

 

5: Thousand Beasts

 

深夜アニメの最終話の2話手前くらいで流れそうな、悲壮感が漂うエピックな1曲。序盤で見せた悲壮感は、緩急を繰り返してエンディングに向けて次第に高まっていく。ドスドスと堅実にビートを刻み続けるドラムスに乗って醸成されていく悲壮感は、『Dark Oath』の世界観へとリスナーを引きずり込む。

 

6: Death of Northern Sons

 

切ないギターリフから始まり、気がつけば疾走を開始している巧みな曲運び。サビの部分は、グロウルとビートとリフがごちゃ混ぜになってカオティックな美しさを形成する。つなぎ目が曖昧にぼかされた変幻自在なメロディーは、まるで迷路に迷い込んだような感覚に陥る。

 

7: Wrath Unleashed

 

シンフォニック的な大仰なメロディーを奏でつつ、疾走感と攻撃性も忘れることなく織り込んでいる。全体的にドラムスに押され気味なギターリフが、この曲では声高にその存在を叫ぶ。ゴリゴリと押し進む疾走感と、中だるみを感じさせない間奏が絶妙な均衡を保っている。ギターリフで哀切を演出しつつも、ドラムスとヴォーカルで強靭さを補う器用さが光る。

 

8: Vengeful Gods

 

髭をはやしたオヤジが片腕を振り上げながら咆哮している様子が思い浮かぶ、ヴァイキング調のメロディー。さながら荒海を突き進むヴァイキングのように、視界に入るものを蹴散らして進む突進力のあるドラムスが出色の出来。

 

9: When Fire Engulfs the Earth

 

哀愁的なギターリフが感傷を誘うイントロ。本アルバムのタイトルにもなっているこの曲は、壮大にして攻撃的で、そのうえ切なさも感じさせる彩りに富んだ1曲だ。サビでは疾走するし、中盤では飛び跳ねるようなギターリフが切なさを醸成するし、終盤に向かって攻撃性は高められる。メロデス、ヴァイキング・メタル、シンフォニック・メタル————様々なジャンルが融合した結晶のような1曲

 

10:Brother's Fall

 

7分間という比較的長めのレングスを最大限に活かしたラストナンバー。オーケストレーションを伴った中盤からラストに向けて再び加速を始めるところは、私の胸に深く突き刺さった。物静かなトーンで収束に向かったように思わせておいて、最後の最後で断末魔のように突っ走るエンディング。『Dark Oath』の器用さが遺憾なく発揮されたシンフォニックな展開。

 

おすすめ度 