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Carnal Forge | Gun to Mouth Salvation : 新編成による門出的なアルバム

Carnal Forge Gun to Mouth Salvation 

 

1997年に結成されたスウェーデンが誇る爆走デスラッシュバンド。結成当時のメンバーが1人もいない状態になった2011年に解散したが、2013年に活動を再開。2013年時点ではVo.のイェンス・モーテンセンが復帰していたのだが、2018年に再び脱退。今作では新たに加入したVo.トミー・ヴァールベリが後任を務める。

 

カーナル・フォージといえば、メロデスラッシュの名盤として名高い『Please....Die!(2001)』のイメージが強い。メーターの針が振り切れて3周くらい回るほどの、あまりに狂気じみた爆走っぷり。初めて聴いたときは心が震えた。その後の作品は、疾走感をほどほどに残しつつブレイクダウンするモダンな方向へと舵をとった。そして、満を持してリリースされた今作『Gun to Mouth Salvation』————結論から言おう。洗練されて垢抜けた名盤じゃないか

 

メンバーの入れ替わりが続いたので、新星Voが作風にどう影響を及ぼすのか一抹の不安があったのだが、そんなものはカーナル・フォージに無用だった。肯定的な意味で丸みを帯びた、より洗練されたモダンなメロデスラッシュ・バンドへと進化していたのだから。

 

切り込むようなギターリフ。テクニカルなメロディー。それでいて、かつてのカーナル・フォージらしい爆走も繰り出す器用っぷり。活動再開後、初のアルバムにふさわしく、以前の作品とは一線を画す完成度に仕上がっている。アートワークに描かれたモダンテイストなスカルは、それを象徴しているかのよう。アット・ザ・ゲイツの『Slaughter of the Soul』で洗礼を受けた世代から、For I Am Kingを愛聴する若い世代まで、幅広くカバーする間口の広さ。デスラッシュファンではないメタルヘッズも気に入ること請け合いだ。

 

作品情報

リリース日:2019年 1月 25日

レーベル: Vicisolum Production

レングス:46分06秒

ジャンル: デスラッシュ / メロデスラッシュ

 

ソングリスト
  1. Parasites
  2. Reforged
  3. Aftermath
  4. Endless War
  5. Bound in Flames
  6. King Chaos
  7. The Order
  8. Hellride 
  9. State of Pain
  10. Sin Feast Paradise
  11. The Stench

 

1. 『Please....Die!』のような爆走デスラッシュを期待していると虚を突かれる。爆走しそうな雰囲気をおくびにも出さず、堂々とミドルテンポを刻み続ける。ぐるぐるとうねるようなメロディーを奏でつつ、しっかりと聴かせるオープニングナンバー。


2. 鋭角的なギターリフで幕を開ける。1曲目で焦らせた疾走感を一挙に開放してくれる。がんがん加速してテンションを高め、サビでブレイクダウン。『DewSented』や『Haunted』のような、牙剥き出しの荒々しさが光る一曲。


3. 『The Crown』並みの突撃型デスラッシュ。洗練されて丸くなったかと思わせておいて、安定の破壊力を見せつける。灰の下でくすぶるほむらのように、さりげなくテンションを高めるギター。疾走感を減退していく終わり方が美しい。


4. 初っ端から全力フルスロットルで走り続けるデスラッシュ。サビの部分はギター、ドラムス、ベースが入り乱れる大乱闘。そこへタフなヴォーカルが殴り込みにかかり、混沌とした様相を見せる。前衛的な抽象画のような狂気を感じる一曲。本作の中で、個人的に一番好きな曲。


5. 電子ノイズのような、螺旋状のギターリフが印象的。メロディアスなサビパートは暴虐的な世界観の中でこそ、より一層の輝きを放つ。ハモらせたクリーンボイスは蛇足のように思えるが、メロディアスの醸成に寄与している。というか、カーナル・フォージってこんなに器用だったっけ……?


6. ひたすらに、ぐるぐると渦を巻き続けるメロディー。『パンテラ』のような大きく弧を描く渦ではなく、より小さい渦をひたすらに巻き続ける。渦巻くようなメロディーはサビに向かってビルドアップしていく。螺旋状のメロディーが繰り出す振動は曲が終わっても耳に残る。


7. モダンなメロディーのイントロ。イントロが途切れる刹那、溜めがあるのがなんとも憎い。跳ね回るギターリフ。緩急のついたメタルコア的な展開。時代の要請に応えながらも、カーナルフォージの色は確かにある。こんな器用なことができるバンドだったんだなと、新たな発見があった一曲。


8. ホワイトノイズが混じったイントロ。『アット・ザ・ゲイツ』のような、しなやかさとエモさが同居している北欧的ギターリフ。その美しいギターリフに対抗するかのように、さりげなく自己主張をするベースもまた綺麗だ。


9. カーナル・フォージの十八番、容赦のないデスラッシュ・ナンバー。2013年に加入したDs.ローレンス・ディナマルカが、堅実にドスドスとビートを刻み続ける。名残惜しそうにフェードアウトしてゆく、ラストのギターリフがミニマルで美しい。


10. 腹にドスッと響くような重低音でじっくり聴かせるナンバー。飛び跳ねるようなメロディーを奏でるギターは『パンテラ』のよう。やや遅めのテンポだが飽きずに最後まで聴けてしまうのは、『カーナル・フォージ』が大御所たる証しだ。


11. 地響きのような重々しいドラムスとギターリフによる長めのイントロ。段階的に加速していく構成が美しい。濁ったヴォーカルを煽るかのように、ドラムスとギターがテンポを上げ続ける。スローダウンしてじっくりと感傷的になった後、再びギアチェンジして加速する胸熱展開。 

 

おすすめ度 